恩を送る陶芸の人

昨日は、朝から京都で大工のワークショップ。夕方に終わって、友人が

「絶対エリが好きな場所で絶叫するから、明るいうちに陶芸行こう」と言う。

 

私が絶叫する場所?

陶芸は好きだけど、陶芸工房なら想像出来るし、絶叫てなんだろ…と半信半疑でついて行った。

 

結果から言うと、これ全部作った。

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最高過ぎた。

 

が、絶叫したのは、陶芸が出来たことではなく、この空間と信念に触れたことにだ。

 

 

 

工房は、建物全てが陶芸家の自作で、素晴らしいのがこのデッキ。

日が落ちてしまっていたので、景色が見えなかった、だから早く行こうと急いでいたのか!
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屋根の板金などをするお仕事が本業のようで、木材と板金が融合された、最高にcoolな家具が並ぶ。

 

たまらん。

 

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バードウォッチングが出来るように、外に向かって作られたカウンターが周囲を囲い、外に降りる謎の階段があった。

ミニステージや移動式のミニチェアーがあったりで、暖かみに包まれ、

製作者の人間味が滲み出るデッキだった。

 

一体全体、どんな方なのか。

挨拶をして、早速、陶芸を始めながらお話をする。

気さくで、関西独特の笑いを絡めながら、楽しい時間が過ぎた。

私たちの他には、男女の若い2人と、1人で来ていた女性がいて、みんなで自己紹介をしながら、ワイワイ話し、満足した人から

 

「じゃ、これで今日は帰りまーす」と言って席を立つ。

 

ここ、何が凄いって、紹介で行ける陶芸工房で、時間は無制限、数量無制限、価格は無料というのを20年間続けている。年に2回の窯入れがあり、来た人は土で好きなだけ好きな物を作り、裏に名前を書いておいて帰る。

窯入れの時に来るか、その後に来て、自分の作った作品を持って帰る。

どんな事でも20年間続けると言うのは大変なことで、それが無償となると、普通は出来ない。

一体全体、まじで、何が、どーなって、こーなったのか聞いてみたくて、

他のお客さんが帰ったのを見計らい、このスタイルを続ける理由を真剣に聞いてみた。

 

すると、

「昔、独立した時、仕事も無くて大変だった時に腰を痛めて整骨院に行ったんや。そこの整骨院の先生がとても素晴らしい人でな、初診は全員無料。僕は仕事が無くてお金がなかったから、ずっと無料。以降、お金が出来てからも先生は受け取ってくれず、30年間無料で今も見てくれてる。その先生への恩をな、ここで返しているねん。」と。

 

震えましたよね。

 

あまりに素敵な人なので、ブログに書いてもいいかお伺いをたてると、

「えぇー恥ずかしいからやめてぇ〜

ほな、整骨院の先生の名前にしてくれる?」と仰りました。

 

お顔出しは、しゃーなしでok貰ったので、ご紹介します。

本名非公開の京都の陶芸家、MR.ホーリーです。

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優しさが顔に出てている。

私たちは23時までいて、こんなに遅くまで迷惑でないのかと聞くと、

「深夜2時までおる人とかもおるで。次の日早いと、あちゃちゃと思うこともあるけど、それだけ夢中になって作ってくへるって、嬉しいことやん?」と。

 

ホーリーのthe大阪な吉本のノリから飛び出す言葉の全ては、思いやりで溢れていて、本当に笑いが絶えない時間だったけど、私が同時に感じたのは、どれだけ沢山の挫折や苦悩を乗り越えたのかという彼への興味であり、自分の未熟さであった。

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「これ、あんまりのやつ。続き作る?」とご自身の作品をどんどん人に渡しちゃうノリがまた暖かい。
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「こーやってみんなで楽しく話しながら作るの、ええやん?」と言いながら、こちらがhelpを要請するまで放置。

自由にしたらええよ、という姿勢は、まさに私が敬愛する岡本太郎と被るものがあった。アートは自由なのだ。
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素晴らしい人と出会えた。

 

聞くと、人から家や畑を貰ったりしているらしい。

なんかわかる気がした。

 

いい大学を出て、いいお給料をもらっても、会社が潰れたら生きて行けない人たちがいる。

 

ホーリーをみて、これがまさに生きる人の力であり、価値なのかも知れないと思った。

 

来月は窯入れ。

 

次に訪ねることが楽しみで仕方ない!