副社長のスピーチ

金曜日の午後、副社長から話があると集合がかかり、出社している社員が集められた。
密を避けるように、会議室でなく、広いフロアーに輪になるように、隣と距離をあけ、全員マスク着用で立つと副社長が話し始めた。

副社長(42歳外国人)
「今日は、皆さんに会社の現状とこれからの話をしたいと思います。
コロナが収束した時、つまりアフターコロナは、元の世界には戻りません。経済は長い時間をかけて戻るかも知れないけど、ヒトの価値観、生き方は大きく変わり、それはビジネスのあり方が変わることを意味する。オンラインやIT、メルカリは順調というニュースもあるが、それは短期的なもので、後から彼らも煽りを受ける。早いか遅いかの違いです。もぅ前の世界には戻らない、ちゃんとそれを理解して欲しい。これは悲しい話ではない。そもそも元の世界は、良くなかった、と僕は思っています。アフターコロナは、素晴らしい世界があると思うが、それには、多くの人がかなりの痛みを伴うのです。
繊維業界である我が社も、ご存知の通り大きな影響を受けており、今月4億の売り上げ見込みが、今日時点で1億しか回収出来ていません。更に海外からのオーダーが止まったことで、未来の売り上げ見込みはなく、会社として皆さんのお給料を含め運営をどうしていくのか、銀行融資など出来るだけのことを全力でしている所です。
知っている人もいると思いますが、我が社は、マスクや防護服の取引を開始する準備をしており、うまくいけば、落ちた売り上げを取り戻し、会社を回せると思います。
しかし、理解頂きたいのは、僕はファッションの業界でやってきたし、マスクや防護服でお金を儲けたいとは思っていない。本当は、やりたくない嫌なことなのですが、僕には皆さんの生活を守る責任がある、資金のための手段として仕方がないのです。阪神大震災リーマンショックも経験し、厳しい時期を沢山乗り越えてきたが、今回は訳が違う。今までは、辛くても先が見えました。でも、今回は、先がまったく見えない。誰にも見えない未来に向かって、考えうる全てのことを、ただやるしかないのです。

次に皆さんにお願いがあります。もぅ前の世界には戻らないと言いました。それは会社として皆さんに変化を求めるということです。過去にとらわれ、変化が出来ないということは、未来で生き残ることは難しいでしょう。繊維業界は、リモートが難しい業界で、現に今も在宅での勤務に限界を感じている人が多いでしょう。そこがチャンスなのです。リモートでは不可能と思われていた業界が変わるチャンスなのです。クラウド化に慣れ、Zoom meetingに慣れ、新しい仕事のスタイルを作っていきましょう。変化をしなければならないのです。

中国のネット通販会社アリババの社長の言葉を紹介します。
“When the wind is blowing even a pig can fly, but when wind is gone, it falls to die. “
(風が吹くと豚でも飛べる。でも風が止むと、豚は落ちて死ぬ)

つまり何が言いたいのかと言うと、豚は豚のままだったので、落ちて死にました。風が止んでも落ちない為には、豚は豚のままではダメだった。変化しなければならなかった。
皆さんに変化を求めます。
Please don’t be afraid to change!!

最後にお伝えしたいのは、我が社は、会社は人であると信じて、ここまできました。だから、派遣社員含め、誰一人解雇しない方針で、出来るだけのベストを尽くします。
僕も完璧ではないから、不安を与えてしまうこともあるかもしれない、でも、何より今は皆さんに安心を届けるのが一番であると思っています。安心と安全は似てるけど違います。僕が届けないとと思うのは安心で、

 

本当に

 

全力でやっています、

 

だから、

 

 

(言葉に詰まりながら)

 

 

信じてついてきて下さい。」

 

 

 

ちょっと泣いてる人もいた。

 

普段クールな副社長のエモーショナルなスピーチ。

 

50人弱の中小企業で創業101年目。

 

苦しい時こそ、本性が出る、

 

会社も人も。

 

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