根っこを伸ばして生きる
今朝は雨で、朝は畑から作物を収穫したら、袋詰めして、近くの農協へ出荷。
初めて師匠について行ったけど、無農薬、化学肥料なしのお野菜は、うちだけだった。
他のお野菜は、農薬や肥料を使っている為に葉の色が濃く、パンパンに太っていた。それにも関わらず、師匠はお野菜の前に立ち、道行く人に「野菜ある!どう?美味しいよー!」と呼び込み、お客さんが立ち止まると、
他の農家さんの野菜を勧め出したのだ。
え、、何で?自分の野菜を売るんじゃないの??
最初、訳が分からなくて、ずっと見ていた。
師匠は、よく言う、農家にも色々あるけど、みんなで協力しないと駄目だと。
日本の農業を、自給率を上げないと駄目だと。畑をコンクリートで埋めてしまっては、駄目だと。
1人で呼び込みする師匠。
その師匠が勧めているのは、他の農家のお野菜。
そして、勧めてないのに一番売れていったのは、師匠のお野菜だった。
虫食いの、小ぶりのお野菜たち。
なんか涙が出そうになった。
市場が終わり、畑に戻るとお昼前。
雨なので座学をしようと紙を出してきた。
1時間ほど作物の話がある中で一番心に響いたこと。
それは、【根っこが全て】ということ。
師匠「種を撒くやろ、
まず、根っこが出る。
根がしっかりしないと作物は駄目やねん。
農薬や化学肥料をどんどん入れれば、土から上は大きく育って、実もパンパンに、そして沢山実る。でも、そんな作物は、栄養もないし、根っこが張ってないから台風ですぐにやられてしまうねん。土が大事やし、根っこをしっかり生やさないとアカンねん。
人間も一緒でな。見えない根っこをゆっくり、しっかり、はやしていかな、あかんねん。見えてるとこばかりにみんなお金かけるやろ?良いように見せようとして。そうすると、根っこがないからやな、今回みたいなコロナやーとかなると全員マスクするしかないんや。根っこがあればマスクせんでもええんや。
マスクは不安の表れなんや。人間て、そーゆー生き物なんや。人間は、殆どの人が悩みという種を持って生きていると僕は思う。その悩みの種は、根を生やす事でしっかり地に根付いて、ちゃんと立てるようになる。だから、上を大きくしようとしたらあかんねん、根っこを生やすように生きないとあかんねん。
よし、ほな、お昼ご飯食べよか。」
そしてお昼ご飯を食べながら、師匠の奥さんが言う、
師匠妻「この人、若い時は、化粧水つけて、香水つけて、なんや髪の毛整えて、そらぁ、私より、なんやかんやと、やっとったで。ドライヤーとかもしてた。私は畑と育児、お姑さんとの関係もあるし、そんなする暇なんて1つもなかった。毎日エプロンで走り回って必死やった。よぉ〜言うわ…どの口が言うてんねん、ほんまにぃ〜。笑かすわ。(チラッと師匠を睨む)」
師匠「(満面の笑みで奥さんに)ほんま、すんませんでした!」
ヤンチャだった若かりし師匠が学んだ根っこの大切さ。
奥さんの暴露により、笑いと重みを得て更にジワジワと私に染み込んでくる。