Mission Blueを掲げて

今日は、このブログのタイトル、Mission Blueについて。

 

Mission Blueとは、アメリカの海洋学者Sylvia Earleが作った団体の名前で、世界中に海洋保護区を作ることを目的としています。近年の温暖化は、人間が原因であると科学的に証明され、温暖化や二酸化炭素の増加により、珊瑚は白化し、このままでは、海洋資源も未来の私たちの家もなくなってしまうよと言われているからです。

Tedtalkでこの問題についてスピーチしたのが、Founderであり、海洋学者であり、絵本作家であり、80歳を過ぎても現役のダイバーであり、NewYork Timesが世界のヒーローに選んだシルビア博士。

 

 

私がシルビアを知ったのは、31歳の時。

昼間働きながら定時(18時)で退社し、ダッシュで向かったのは、留学斡旋予備校。19時からの授業前に早めについて、15分で予習や復習をする。22時に授業が終わってダッシュで帰宅が23時。夕食を食べて、お風呂に入り、寝落ちするまで宿題をする。気づくと朝になっていて、朝食をとって家を出る。最寄りの駅では、必ず決まった時間の決まった車両に乗る。必ず2駅先で降りる人の前をキープし、2駅後から座ると、残りの宿題をする。たまにお年寄りがいると席は譲るので宿題はピンチに追い込まれる。会社のお昼は、コンビニのイートインスペースでおにぎりを食べながら宿題をする。どれだけ宿題が多いんだよと思うかも知れないが、そんなに多くはない。15年ほどの英語ブランクが私にyesterdayのスペルさえ忘れさせたのだ。授業は100%英語なので、一人チンプンカンプンで、たまに聞き取れたと思って答えると、全く的外れなことがしばしばあった。月曜から木曜日まで毎日毎日毎日宿題や課題に追われていたある日の授業後、

先生のJohnが聞いてきた、

 

John「エリ、海が好きならもちろんシルビアは知ってるよね?」

 

 

??

 

私「ジャック・クストーなら知ってるけど!」

 

 

Johnは、いつものお得意のため息をつき、Oh boy..という仕草で頭を抱え、

 

「You should know her if you really want to study about Oceanology. (本当に海洋学をしたいなら、彼女のことを知っとかないと)」

 

あ、そう?分かった。

 

 

Johnがおでこを抑えてため息をつく時、あぁ自分は本当に何も知らないアホなんだなぁと少し落ち込む。でも、それが次への活力にもなる。

 

帰宅後、海洋学者シルビアで検索。

日本語ではあまり出てこないけど、英語では止めどなく出てくる。それから調べるうちに、こんな凄い人を何で知らなかったのかと驚くばかりの超有名人だった。

 

 

32歳でフロリダに留学した4ヶ月後、Ocean Film Festivalという海の映画祭があると知った、しかもフロリダで。車で3時間くらいだし、行ってみたいなぁと思って調べると、なんとシルビアの映画(伝記)の試写会と、本人がゲストで登壇するという記事が。

私は、同じ留学生の車持ちのフィリピン人をランチで買収し、3時間、車を走らせて会いに行くことにした。入場券は、学生割引で$50、一般は忘れたけど多分$70とかだったと思う。VIPチケットは$5000で、上映後、シルビアを囲む立食パーティーに参加出来るというものだった。

50万円払う人ってどんな人だよと興味深々で、会場に着いた私は、”警備員がいないことを確認し”、VIPルームに迷い込みました。

 

すごい。

セレブのように華やかなだけでなく、一人も嫌なオーラの人がいない。

チケットの50万円は、シルビアの海洋保護資金として寄付される訳で、

本当の豊かさを求めるお金持ちって、こういうお金の使い方がステイタスなんだよねと肌で実感。しかも主催スポンサーがRolexで至る所にRolexのバナーが。

お金持ちであり、海洋保護に資金提供する眩しい人たちに囲まれ、何だかそこにいるのが辛くなってしまった私は、迷ってきた道をきっちり辿って、正面玄関へ戻った。

 

開演まで、あと少し。

 

手にはシルビアに渡す手紙と、サインを貰う用のシルビアのカレンダー。

 

ひょっとしたら、フラッと入り口から来るかも知れない。上映会場は大きなホールで3階席まであった。先に中に入って、前の席をとることがいいのか、いや、ホールが広すぎる。

 

私は、正面玄関で入り待ちにかけた。

そんなことはあり得ないと思いながらも、仁王立ちしながら入り口をにらみつけていると…

 

  

一般の人みたいに入って来た…

 

 

え?嘘でしょ?

 

 

そんなことってある?と少しにやけながら、でも喜びを隠しきれず シルビアに向かってダーッシュ!

同じようにダーッシュした人がいて、私は2番目だったけど、目の前にレジェンドがいることに高鳴りまくる鼓動。

ふと気づくと、シルビアに気づいた人たちで周り一帯は人だかり。

1人目が終わり、私の番がくる。

私は中学生レベルの英語でこう話した。

 

「あなたの大ファンです。海のことを知りたくて、日本から勉強しにアメリカに来ました。私は元ダイビングのインストラクターで、日本にも海洋保護区が出来ることを願っています。」

 

下手な英語を一生懸命聞いて理解してくれたシルビアは、大きく縦に頷いて、両手の親指を立てた後にハイタッチを要求してきた。

 

80歳、地球のヒーローと、

33歳、yesterdayがかけるようになった私のハイタッチである。

 

手紙を渡すと、目の前で開き、私の名前とアドレスを確認。

そして、これアドレスあってる?と聞いてきた。

ん?と思ってみると、アドレスの@が`になっていた。

今から全力で言い訳しますけど、アメリカのキーボードは日本のものと記号の配列が違う為に日本の癖で@と打つと`になってしまう訳です。

手紙を渡した瞬間に連絡先を確認するシルビア。

@おかしいでって気づくシルビア。

で、出来る。はやりレジェンド。

 

そうこうしているうちに警備員が出て来て、会場に入るのでと強制的に終了させられそうになり、すかさず写真駄目?とおねだりして撮って貰いました。

f:id:mission_blue_japan:20180718231955j:plain

カレンダーにサインも下さい!と貰いました。

シルビアのAがお魚になっていて、fishよ、と微笑んだ彼女のcuteなこと。

 

f:id:mission_blue_japan:20180718232254j:plain

背は縮んで、シミやシワはあっても、内面から輝く可愛らしさと美しさ、そして強さに圧倒され、シルビアが会場に入っていくのを後ろから見ながら、興奮で震えてる自分に気づく。

その後、私も会場入りし、真ん中くらいの席で映画をみた。

本当に素晴らしく、強く、可愛い女性。

まだ女性の学者が少なかった時代に、差別を受けながらも、学びを止めなかったシルビア。そんな彼女の生き方があまりに美しいので、私もそんな風に生きたいという想いから、このブログをMission Blueにしました、

 

Mission Blueが日本にも広まることを祈って。 

 

 

 

彼女の生い立ちや経歴は、NetflixのMission Blueというドキュメンタリーで見ることが出来ます。

予告版 Mission Blue | Official Trailer [HD] | Netflix - YouTube

 

また、ベストスピーチ賞を受賞した彼女のtedtalkは、こちら。(20分弱)

Sylvia Earle: How to protect the oceans (TED Prize winner!) - YouTube

 

Hop Spotsと呼ばれる世界の海洋保護区を見ることが出来るMission Blue のHPは、英語に自身のある方もない方も楽しめるはず!因みに海底が見れるGoogle Earthは、シルビアの一言で開発されました。誕生エピソードは、20分弱のベストスピーチで語られています。

Home - Mission Blue