ラディッシュ編 (アーバンパーマカルチャーという試み)
それは、2月の頭、まだ肌寒い季節だった。パーマカルチャーデザイナーの資格を取得したものの、実践経験がない私はフィールドを探していた。
畑は近くにない。月金で仕事だし、土日は家にいない事も多く、作物を育てたくても日のある日中は会社にしかいない…
会社にしか…
!!!!!
ということで、
会社でやることにしました。
なんと1番最年少の女の子が、「面白ろう、うふふふ」て興味津々だったので、
「一緒に育てて食べようや!」と言うと、
「オシャレです。やります」と。
環境問題は、こーゆー巻き込むことが大切だと思っているので、心でガッツポーズです。早速種まきをしてもらいました。
カップ麺の容器に穴を開けて、下から土が流れ出ない様にネットを貼り、上にゴロ石を敷き、上から土を入れます。
そこにラディッシュを撒き、水をあげました。
ワカメラーメンのカップ超ウケる〜
何それwwwと社内のみんなが笑ってくれました。
Netflix で見たLittle forestという農のゆるーいドラマの中で、上京した主人公が都会で一人暮らしをしながら、部屋でカップ麺の容器でラディッシュ育ててるシーンがあって、これやぁ!!とヒントを得たんだけど、
いざ、やろうと思うと、
どのカップ麺にする?と。
30分くらいスーパーのカップ麺売り場に立ち尽くし、これしかないと決めたわけです。
私は、海洋汚染問題に何か働きかけたくて、綺麗な海を守りたくて農の世界に足を踏み入れたわけです。
私は海から来た人間なのです。
海は、命の始まりであり、海から森が生まれるわけです。
ワカメから大根が生えてくる、
それはまさに私のコンセプトにぴったり。
むしろ、その為にワカメラーメンがあるかの様にさえ思えてきました。
あまりに楽しくて、数日、机の上に置いていたら、
ガーデニングをしてるという先輩が、
「ねぇ、それ、湿らせた新聞紙で蓋して暗くしたほうがいいよ。あと机の上は風通し悪いから、エントランスに移した方がいいと思う」と、教えてくれた。
「え、そんなの、この本には書いてなかったんですけど…」と言うと、
笑いながら、
「あまりに常識だからじゃない?」と言われ、
これは、経験者を味方につけなあかんと思って、
「先輩、オフィスガーデンの顧問して下さい」と頼み、快く引き受けてくれました。
2人目の味方ゲット。
そして先輩の言う通りにすると、
なんと翌日、
ええええええーー!!!!!
出てるしぃー!!!!!!
大歓声です。
何なら、笑って見てた今時のギャルも、
本間に出るんですね、凄い、と。
そして、どんどん伸びた頃、
間引きした方がいいよ、と先輩に言われ、間引きという意味を始めて知りました。
間引いたものは、カイワレ大根そのもので、みんなで食べました。
どんどん葉が伸びて、
今週遂に、
出とるがな、と。金曜は出てなかったのに、月曜出勤したら、実が土から出とる!
土から出てるー!と騒いでると、新たな先輩が、「土が減ってくから足さないとダメよ。土を足したら、まだ大きくなるよ」とアドバイスをくれたのだけれど、嬉しすぎる私たちは、
早速、お昼のランチタイムに収穫。
大盛り上がりです。
まだ1個しか出来て無さげだったので、1個を4スライスにして、4人で試食。
うまぁーー!!!!!
瑞々しくて甘い。温室育ちだからか、めちゃくちゃ柔らかい。葉っぱも苦味が程よく美味しかった。
【無農薬だけど、虫がいなくて最高!】
【インスタ映えしますね〜!】
【次は、もっとお洒落なものを育てましょう!】
て若い子が言った言葉が、心に残る。
虫がいないのは、自然界では、不自然なこと。
だけど、土からあまりにも離れてしまった私たち都会の人間には、虫は害虫でしかない。
オフィスの中だし、虫はダメなんだろうけど、
いつかオフィスの若い子たちが、もっと土と触れ合い、
自ら育てた作物を食べて、大地との繋がりを感じるようになって、
インスタで映えるかどうかは、どうでもいいことだと思う日が来るのかなぁ、
と思うと、
とても楽しみで仕方がない。
今は、一緒になって、
「インスタ映えやぁ!!!」と言うことが、私に課せられた任務であり、
結構、、、、楽しい。(インスタしてないんだけど。)
そして、実はこのラディッシュ、別名20日大根と言って、20日で収穫が出来るのが基本なんだけど、
今回、2ヶ月かかりました。
2ヶ月大根に命名。
なんなら、まだ1個しか出来てない。
来月には、3ヶ月大根に。
実は先輩が途中で気づいたことがあって、
根菜は、根元に太陽が当たるのはダメなんですって。
ワカメラーメンのカップが、太陽光を土の中まで通してしまっていたから、大根の成長がめちゃくちゃ遅かったわけです。
太陽光を遮断するのにカップにアルミホイルを巻くように先輩に言われたんだけど、
ワカメから生える大根というコンセプトを崩したくなかったのと、
視覚的注目を集める面白さが大事だと思って私が考え抜いて、わざとカップ麺の容器でしているとは知らない(言ってない)ので、
先輩には「映画では、これでやってる人がいたんです、今回だけこれでやらせてください!」と主張してやり通した。
ただ、1個収穫して辿り着いたのは、
カップ麺の容器、やっぱあかんで、と。
いい感じに社内にも浸透してきて、カップ麺容器の役目は全うしたので、次は、遮光出来る普通のプランターで育てる事にします。
つづく